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「Reckless driving 〜暴走〜」
カレンはジノの腕の中で、半ば呆然とゼロの素顔を見返していた。
ルルーシュが生きていたという衝撃の事実。では、2ヶ月前のあれは何だったというのか。ゼロの中身はてっきりスザクだと思っていた。
それが実はルルーシュであったなどと受け止められなくて。
自分を拘束するジノを押しのけるようにしてカレンは駆け出していた。ジノの持つナイフなど全く視界に入らなかった。
ナイフも気にせず飛び出すカレンに、慌ててジノが手を離す。彼女を本当に傷つけるつもりは最初からジノにはない。
駆け出したカレンがルルーシュに詰め寄った。
その時。二階のバルコニーから怒鳴り声と、ガラス戸を打つ何かの音が響いてきた。
サロンにいた誰もが反射的にそちらを振り返る。
ガラス戸の向こうに、ナナリーと、アーニャと、ギルフォードと、コーネリアと、衛兵と、それからスザク……それから……。
「ルルーシュ?」
また、ルルーシュだ。同じ顔が次から次へと。カレンは完全に混乱しきった頭で二人のルルーシュを交互に見返した。どちらが本物なのか。どちらも偽者なのか。
ただ傍らの、ルルーシュの姿をしたゼロが驚いたように呟いた。
「ルルーシュ様……」
◆ ◆ ◆
カレンはジノの腕の中で、半ば呆然とゼロの素顔を見返していた。
ルルーシュが生きていたという衝撃の事実。では、2ヶ月前のあれは何だったというのか。ゼロの中身はてっきりスザクだと思っていた。
それが実はルルーシュであったなどと受け止められなくて。
自分を拘束するジノを押しのけるようにしてカレンは駆け出していた。ジノの持つナイフなど全く視界に入らなかった。
ナイフも気にせず飛び出すカレンに、慌ててジノが手を離す。彼女を本当に傷つけるつもりは最初からジノにはない。
駆け出したカレンがルルーシュに詰め寄った。
その時。二階のバルコニーから怒鳴り声と、ガラス戸を打つ何かの音が響いてきた。
サロンにいた誰もが反射的にそちらを振り返る。
ガラス戸の向こうに、ナナリーと、アーニャと、ギルフォードと、コーネリアと、衛兵と、それからスザク……それから……。
「ルルーシュ?」
また、ルルーシュだ。同じ顔が次から次へと。カレンは完全に混乱しきった頭で二人のルルーシュを交互に見返した。どちらが本物なのか。どちらも偽者なのか。
ただ傍らの、ルルーシュの姿をしたゼロが驚いたように呟いた。
「ルルーシュ様……」
―――だからスザク、お前も笑え。
そんなルルーシュの言葉にスザクは。
「何で……」
声が漏れていた。
震えそうになる声が。
「え……?」
ルルーシュが虚をつかれたように、自分を見返した。コーネリアもナナリーも怪訝そうに。
スザクは奥歯を噛み締めた。言葉を吐き出すために。何かを飲み込んで。搾り出すようにして。
「何で、笑うんだ……」
「スザク……?」
「何で、笑えるんだ!!」
気が付いたら、大声で怒鳴りつけていた。叫んでいた。
これじゃぁ、同じだ。ゼロレクイエムと何も変わっていない。何も。いや、それどころか、もっと悪い。隠れながらでも、きっとそれなりに過ごしてきただろうルルーシュを引きずり出して。
これじゃぁ、本当に自分は、あの枢木神社の時の二の舞だ。
何の為にルルーシュを引き摺りだしたんだ。こんな結末のために、このシナリオを仕組んだわけじゃない。
これじゃぁ、やり直せた事にはならない。何のための懺悔だったんだ。せっかく捉まえたのに。また自分の手から零れ落ちていく。
ユフィが望んだ世界は―――!!
自分には変えられないのか。何も変えられないのか。そんなに自分は無力なのか。非力なのか。
「俺は嫌だ、ルルーシュ! 俺はこんなの絶対認めないからな!!」
自分の言ってる言葉の意味ぐらいわかっている。滅茶苦茶な事を言っているという自覚もある。ルルーシュがどんな思いで笑ったのかもわかっている。これが単なる自分勝手な我侭だという事も充分に。だけど。
笑顔を返せない。笑えない。こんな結果に笑顔なんか作れない。
確かに自分は笑顔には笑顔でしか返せないと言った。だけど自分はこうも言ったんだ。
―――もう、一人で全部背負うな……
どうして分けてくれない。
いや違う。
他人の罪まで背負おうとする彼に。
「一人で全部背負っていくな」
ぶちまけた。
「スザクさん……私も」
ナナリーが涙を拭って顔をあげた。それは笑顔じゃなくて、強さを秘めた決意の顔。
「なっ……」
ルルーシュがうろたえた。彼の瞳に動揺の色が映る。
コーネリアが割って入った。
「ギルフォード! 枢木を黙らせろ!!」
「ルルッ……」
更に言い募ろうとしたスザクの口をギルフォードが塞ぐ。
そうしてコーネリアが場を取り繕うように、二人を捕らえる衛兵らに連行の指示を出そうとした、その時。
二つの銃声と共に、ルルーシュを拘束していた衛兵が二人倒れた。
その場にいた誰もが驚いたように振り返る。
「誰だ!?」
コーネリアの誰何。
サロンにいた者たちがバルコニーに上がってきていた。その一番後ろに、銃を構えたシュナイゼルが立っていた。
「なっ……!?」
息を呑む。唐突な出来事に。コーネリアらは勿論、一緒にバルコニーへあがってきたジェレミアらも、咄嗟に何が起こっているのか理解できなかっただろう。
ただ、シュナイゼルがゆったりとした足取りでルルーシュの背後に歩み寄りながら、穏やかな声で告げた。
「言っただろう? ゼロ様を傷つける者は、コーネリア。たとえ君であっても許さないと」
シュナイゼルの銃口がぴたりとコーネリアの心臓に向けられる。
瞬時に近くにいたジノとジェレミアが飛びかかろうとしたが、シュナイゼルの衛兵らに邪魔をされた。
「なっ!? 兄上……」
「シュナイゼルお兄様!」
うろたえるコーネリア。ナナリーが叫ぶ。
「シュナイゼル! 待っ…」
ルルーシュの制止。その言葉よりもわずかに早く、シュナイゼルは何の躊躇いもなくその引き金を引いていた。
「姫様!!」
ギルフォードが駆け出す。
スザクが自分を拘束する者達を振り払って飛んだ。
弾丸が走る。
コーネリアを押し倒すようにしてスザクが伏せた。
掠める銃撃。
自動で二発目が装填される金属音。
「やめろ、シュナイゼル!!」
ルルーシュがやっと振り返った。
シュナイゼルの銃口の前に立ちはだかるようにしながら。
咄嗟にシュナイゼルが銃口をあげる。
「ジェレミア! ギアスキャンセルを!!」
ルルーシュは視界の隅にその姿を見つけて命じた。
このままでは、自分が連行されても獄に入っても、シュナイゼルはコーネリアを害し自分を助けに来てしまう。ならば、彼のギアスを書き換えるしかない。そもそも最初から、ゼロに仕えよという命令に問題があったのだ。
「イエス・ユア・マジェスティ」
ジェレミアが飛び出した。
シュナイゼルが目を閉じる。
青く作られる結界領域にギアスキャンセルの効果。
シュナイゼルの体がぐらりと傾いだ。
「シュナイゼル!」
ルルーシュが兄を呼んだ。
だが彼は閉じた目を開けず、顔もあげる事なく。ただ、よろよろとよろめくと、アーニャを押しのけるようにしてナナリーの車いすの取っ手に体を支えるように手をついた。
「…………」
何故彼は目を開けない。何故彼は顔をあげない。疑問と、そこから導き出される危険に、ルルーシュは全身が粟立つのを感じた。このままでは新たな書き込みが出来ない。
無意識に息を飲んで、もう一度その名を呼ぶ。
「シュナイゼル……」
だがやはりというべきか彼は応えなかった。
シュナイゼルは俯いたまま、ルルーシュの方を見る事もなく。
ただ、おもむろに持っていた銃口をナナリーの首筋に押し当てただけだった。
「!?」
誰もが身じろぎも出来ずに固まった。
息をする事さえ憚られるほどの緊迫感。一歩でも動けば、ナナリーの命はないという無言の圧力に、ただ生唾を飲み込むぐらいしか出来なかった。
その沈黙をシュナイゼルが破る。
こみ上げてくる嗤いを押し殺すようにして。
「この時を待っていたよ―――」
ゼロを見失い、結果的に強制力が薄らいだが故に、シュナイゼルは彼自身の思考と意志で動く時間を得ていた。
仕えるべき相手を見失いながら、彼が仮面を取った後のジノ扮するゼロにまで仕えてみせた理由。
ルルーシュも、スザクもその場にいなかったから、その違和感に気付けなかった。ゼロをジノだと知って尚、ジノの命令に従おうとした彼に。最初のシナリオでは、ジノの命令に従わなくなったシュナイゼルに咲世子が命令するはずだったのだ。
「―――ギアスが解かれるこの瞬間を、ね」
シュナイゼルが淡く微笑んだ。
そうだ。ゼロが彼にクーデターを起こさせる真意を考えれば、コーネリアが容易にルルーシュに辿り着けたように、シュナイゼルとてルルーシュに辿り着く事は、そう難しい事ではなかったのだ。
ならば、その計画に便乗してギアスを解かせる算段も立てられよう。
コーネリアの性格なら必ずルルーシュの前に立ちはだかる事は彼なら容易に想像できた。それに対し彼はただ、ゼロに危害を加える者には容赦しないというギアスに強制された基本行動に則って、ルルーシュを盾にコーネリアを害そうとするだけでいい。そうすれば、必ずルルーシュは彼に対し何らかの手段を講じてくるはずだからだ。
シュナイゼルはただ、それを待つだけでよかった。
確かにその時は、その場しのぎの何かであるかもしれない。だが、このギアスが二人のゼロの登場でその綻びを見せた以上、遅かれ早かれ、書き換え、或いは解除が行われるはずである。
「さすがに。こんなに早く、その好機が訪れるとは、思っていなかったんだがね」
ギアスの解除。まさか、それをジェレミアが行えるとは。
シュナイゼルは銃を持たない手でポケットの中の小さなスイッチを握りこんだ。
「そん……な……」
呆然とルルーシュはシュナイゼルを見返した。
いや、ルルーシュだけではない。
コーネリアもスザクも、ジェレミアもギルフォードも同様だった。粘つく唾液に喉の渇きを覚え、ただただそれを飲み込んでいた。
話しが見えないながら、ジノやアーニャ、カレンらも、ナナリーを人質にとるシュナイゼルに、彼の裏切りとその脅威を感じ取り、動けずにいた。
自分達が飛び出したところで事態が好転しない事はわかっている。今はシュナイゼルの隙を伺いながら、ナナリー救出のタイミングをじっと待つしかない歯がゆさに耐えるしかないのだ。特にカレンの苛立ちは大きかった。目の前のルルーシュを問い詰めたい衝動と、ナナリーの危機に、やきもきと気持ちが焦る。それでも今は蚊帳の外にいるしかない。
その一方で自らを蚊帳の外に置いて、彼らの声の届かない少し離れた場所から、冷静に状況を見守っている者もあった。咲世子である。
そして。
アリエス宮の裏庭で傘をさして、何かを懐かしむようにぼんやり佇んでいたCCが振り返った。
「ルルーシュ。君に一つだけ聞きたい事がある」
シュナイゼルが口を開いた。ナナリーを見下ろしたままで。
一つ深呼吸してルルーシュはシュナイゼルを見返した。睨みつけるような強い眼差しで。
「……なんです、兄上」
「君の母君。マリアンヌ様の事なんだがね」
「!?」
シュナイゼルの言葉にルルーシュの顔色が変わる。一瞬、息を詰まらせかけて。
ナナリーが顔をあげてシュナイゼルを振り返った。
「お母様の?」
シュナイゼルは、ああ、とナナリーに柔らかい笑みを返す。
「私は九年前のあの日、父上に頼まれてね。マリアンヌ様のお体を秘密裏にとある場所へ移したんだ」
優しく話し聞かせるように。
「…………」
無意識にルルーシュは半歩後退っていた。
「父上は私に言われたよ。マリアンヌ様は、まだ生きている、と」
「兄上、それは真ですか!?」
コーネリアが驚いたように尋ねた。彼女にとって閃光のマリアンヌは幼い頃からの憧れの存在である。
いや、彼女だけではない。ジェレミアも身を乗り出していた。
それとは逆にジノとアーニャは眉を顰めた。
スザクはルルーシュを見やる。
シュナイゼルはゆったりと、間を持たせるようにして頷いた。コーネリアの中に、いや、それだけではない。その場にいる全員に、その言葉の意味が沁み渡るように。
「ビスマルクが言うにはね。第二次トウキョウ決戦のあの時、神根島には父上の他にマリアンヌ様もおられたというんだ」
「やめてください!! シュナイゼル閣下!! それ以上は!!」
咄嗟にスザクが割って入った。その言葉の続きを予想して。
ルルーシュの動揺を見ていられなくなって。
だが、止める事は出来なった。
「ルルーシュ。君は、君の母君であるマリアンヌ様を、一体どうやって―――始末したんだい?」
シュナイゼルの口調は変わらず淡々としてゆるやかなものであった。
けれどそれに気圧されたようにルルーシュは後退っていた。
「…………」
過去を望んだ彼らから明日を取り返した事を間違いだったとは思わない。後悔もしない。だけど。どうしようもなく足元が揺らいだ。
ナナリーに知られてしまうという恐怖のせいだろうか。
「ルルーシュ!!」
よろめくルルーシュを奮い立たせようとスザクが声をかける。あれは、間違いじゃなかったと。だが。
「お兄様が、お母様を?」
愕然とルルーシュを見返すナナリーの眼差しが。
「マリアンヌ様を?」
ジェレミアの不審の眼差しが。
「始末しただと?」
説明を乞うコーネリアの眼差しが。
ルルーシュを責めたてているようだった。
「どういう事です、ルルーシュ様!!」
問いかけるジェレミアに、ルルーシュは更に後退った。
張り詰める何か。極度のストレス。追い詰められる。
「ちっ……ちがっ……」
まるで過呼吸のように。
呼吸の仕方を忘れる。生まれた時から当たり前のようにしていた事のはずなのに。
「是非、聞いてみたいものだね。父上だけでなく、母君までも手にかけた、その心境を」
シュナイゼルが更に問いかけた。追い討ちをかけるように。
何かを堪えるように、或いは何かから逃げるように、もしかしたら彼らの追及から逃げるように、ルルーシュは手の平で自らの視界を覆い隠した。それでも逃げる事が出来なくて、揺らぐ足元に踏みとどまるために、血が滲みそうなほど奥歯を噛み締めた。
そうやって自分を支えているのがやっとで。
もう、音が聞き取れない。
自分の荒い呼吸音しか響いてこない。
指の隙間の小さくなった視界の中で。
ナナリーを探した。
「違うんだ……」
それはちゃんと、声になっているだろうか。音になっているだろうか。彼女に届いているだろうか。
「母さんは……」
言いかけた言葉。
続けようとした言葉。
だけど。それは違った。そうじゃなかった。
だからそれを飲み込んでルルーシュは息を吐き出した。全部。

今更なのだ。
今更、何を言い訳しようとしているのか。今更、何を取り繕おうというのか。こんな自分の何を。
スザクに受け入れられて、気持ちが揺らいでしまっていた。許してもらえるんじゃないか、と錯覚した。
だけど。
どんな事情があったにせよ、事実は変わらない。自分がやったんだ。
そして。
他人に何と蔑まわれようとそれを自分は後悔していない。
ならば。
胸を張る。
虚勢でいい。
「お兄様……聞かせてくれますか?」
ナナリーが尋ねる。

ルルーシュは答えた。
「ルルーシュ!?」
スザクが驚いたように声をあげる。
それを無視して、ルルーシュはナナリーに向かって言った。
「俺が、始末したんだ」
その声を強い風が吹き飛ばした。
最初にその異変に気付いたのはCC。次いで咲世子。
しかし、どんなに早くその異変に気付こうとも、彼女たちにはどうする事も出来なかっただろう。新アリエス宮を取り囲む軍靴を止める事など。
上から吹き付ける強い風に、バルコニーにいた誰もが空を仰いだ。風を遮るように腕を翳しながら。
いや、風上に背を向けていたシュナイゼルだけは俯いたままだったか。
ただ、その彼が柔らかく微笑む。
「どうやら、迎えが来たようだ」
「!?」
一機の小型浮遊航空艦がすぐ上空にホバリングしていた。
「閣下!!」
ハッチが開いて昇降機が下りてくる。
そこから顔を出したのは、シュナイゼルの側近中の側近、カノン・マルディーニ。
「兄上!?」
コーネリアが一歩踏み出した。
シュナイゼルはそれに一瞥をくれて、ポケットからハンカチーフを取り出すと、ナナリーの口と鼻を塞いだ。ナナリーが意識を手放したようにうな垂れる。
「ナナリー!!」
ルルーシュが悲痛な声をあげた。
シュナイゼルが告げる。
「まだ、クーデターは終わっていないよ」
「なっ……!?」
つまり。このクーデター計画の詳細を立てていたのは、やはりこの男だったという事だ。恐らくこの航空艦は、シュナイゼルのギアスが解かれたのと連動している。
「彼らを待つまでの余興にお付き合い頂いて感謝する。ナナリー陛下は、私が丁重に預からせていただくとしよう」
言うが早いかシュナイゼルは踵を返し、彼らに背を向け、ナナリーの車いすと共にゆっくりと昇降機へ向かった。
それを止める事も、追う事も出来ず。
「ナナリー!!」
ただ一人。飛び出そうとしたスザクを制するように、機銃掃射。まるでデッドラインを刻むようなそれは、そのラインより先へ進む事を許さず。
シュナイゼルが乗り込み昇降機が上がっていく。
航空艦の中へ。
そしてシュナイゼルは無造作に告げた。

彼の命令に、再び航空艦からの一斉掃射が始まった。
バルコニーに向けて。
だが、そこにいたのは殆どが歴戦の者ばかりである。
スザクは勿論、コーネリアもジェレミアも、ギルフォードもジノもアーニャも飛び込むようにガラス扉を割っていた。
ただルルーシュだけが、遠ざかろうとする航空艦を呆然と見上げていた。
「ナナリーーーーーッ!!」

機銃の銃撃に晒されるルルーシュを庇おうと、反射的に飛び出したカレンの声にルルーシュが振り返る。
「バカ!!」
カレンを突き飛ばすようにしてルルーシュが立った。
刹那。
「なっ……ルルーシュ!!」
彼の背を機関銃の弾が走りぬけた。
彼の体にいくつもの孔を穿って。
ただ地面に倒れるカレンには、彼の体を突き抜けた弾が当たる事はなかった。
やがて銃撃が止む。
彼の体から流れる血に、カレンが呆然と見上げた先でルルーシュは淡い笑みを浮かべていた。
「君は…生きろと……言っただろ」
「なんで……」
震える声でカレンが尋ねる。どうして自分を庇うのか。自分がルルーシュを助けようとした筈なのに。
「俺は……死ね…ない……」
彼の口から血があふれ出した。
「ルルーシュ!?」
カレンは上体を起こして手を伸ばす。
だけど、どうしていいかわからなくて。
ただ。
「だからもう……俺の…身を……案じる必要は……ない……」

頽れるルルーシュの体を受け止めた。
力を失った彼の体を抱きしめて。
カレンは彼の名を呼んだ。
「ルルーシュ! やだ!! ルルーシュ!!」
to be continued...
NEXT Chapter 『lie and truth 〜虚と真〜』 》》
『HEADSTONE 18』 writer:此花咲良 painter:ao《Postscript》
ごめんなさい。先に謝っておきます。諸々。(From 咲良)
咲良ちゃんの挿絵指定箇所はルルカレでした。
男前カレンを下敷きにするルル…げ、下克上だ…!
などと思い、ウキウキしながら描きました。(From ao)
Subject:コードギアス 反逆のルルーシュ - Genre:アニメ・コミック

